19Feb
あなたはサーフィンをしている最中に、なぞの生物に遭遇したことがありますか?
静かに泳ぐ灰色のほそながい体・・・
海面から見える、ぬるっとした光沢のある皮膚・・・
それは、きっとスナメリ。出会えたあなたはとってもラッキー!
今回はそんなスナメリの生態やどんな海域に住んでいるのかを解説します☆
そもそも…スナメリって?
スナメリは、ネズミイルカ科スナメリ属の小型のイルカです。体長は約1.5〜2m、体重は40〜70kgほど。クジラ・イルカの仲間では最も小型の種類とされます。
背ビレがないのがイルカとの大きな違いで、大きな胸ビレと尾ビレでしなやかに泳ぎます。
色は明るい灰色をしていますが、水中の中では白っぽく見えます。
スナメリの名前の由来はいくつかありますが、砂の中に隠れている魚を探す姿が、砂を舐めているように見えるため、というのが一番有力なのだとか。
その名の通り、海底が砂や泥の海域で、水深20m程の浅い場所に1〜3頭ほどの小さな群れを作って生息しています。
まれに、エサを追って数十頭ほどの大きな群れになることもあるようです。
一般的なイルカのような突き出た口ではなく、丸っこい顔をしているので、なんだか微笑んでいるようで愛くるしい表情ですね。
スナメリの生態
人なつっこいイルカとは違って、スナメリはとても臆病で神経質な性格。そのため、イルカのように、興味津々でボートや船に近寄ってくることはほとんどありません。
そんなスナメリ、どのような暮らしをしているのでしょうか。
・食性
スナメリは、エビなどの底⽣の甲殻類から、群集性の小⿂や、イカなど様々なものをエサとして⾷べています。
若いスナメリは砂や岩場にいるエビなどの底生生物を主に食べ、成体になると魚の群れの周りをぐるぐると回りながら、エサの魚を捕まえて食べるようになります。
・繁殖と成長
繁殖期は晩春から初夏頃。
妊娠期間は10~11ヶ月程で、1回の出産で1頭の赤ちゃんを産みます。
生まれたばかりのスナメリの赤ちゃんは、体長70〜80cm、体重25kg程で、成体よりも黒い色をしています。
生後4~6ヶ月程で体の色が親と同じ明るい灰色になり、7~10ヶ月程で離乳して自分でエサを取るようになります。
最大の天敵は大型のサメなどで、スナメリの寿命はは20〜30年と言われています。
・コミュニケーション
首から背中にかけて直径1㎜程度のかたいイボイボがまっすぐに並んでいます。
このイボイボした背中を擦り合わせて、仲間とコミュニケーションやスキンシップをとっています。
また、エコロケーションといって、イルカは超音波を出して餌を探したり、仲間と会話をしています。スナメリもエコロケーションで泳いでいる魚や泥の中に隠れている餌を探したり、仲間と会話をしていると考えられています。
サーフィンでスナメリに会えるポイントは?
スナメリは、ペルシャ湾からインド洋、マラッカ海峡を経て、東シナ海や日本などに分布しており、日本では、仙台湾から東京湾、伊勢湾、三河湾、瀬戸内海~響灘、大村湾、有明海に分布しています。
関東以北のサーフポイントは、スナメリの生息域と重なっていますね。
それぞれの分布域は海底が砂や泥の水深50mまでの遠浅な海域で、水深50mを超える海域で分断されていて、それぞれ別の遺伝子を持ったスナメリが暮らしています。
綺麗な海にしか住めないスナメリは、とくに水深20m程度の海岸に近い海に多く生息しているので、人間による環境汚染の影響を直接的に受けてしまうのです。
スナメリは絶滅危惧種!?
スナメリは環境のバロメーターと言われており、アジア沿岸域に幅広く分布しています。
しかし、今では個体数と生息域の減少が心配されており、国際自然保護連合のレッドリストに「絶滅危惧種」として登録されています。
日本でも水産資源保護法によって、特別な理由があり農林水産大臣の許可を得た場合をのぞいて、スナメリの捕獲は禁止されていますが、実際は調査のための捕獲も禁止されているので、詳しい過去からの推移を示す記録はありません。
瀬戸内海では1980年頃に約5000頭いたスナメリが、2000年ごろには約700頭まで減少したと言われています。それから20年以上経った現在は、ますます生息数が減っていることが考えられます。
遠浅の海を埋め立て、人口護岸の海岸線が増えるに従い、かつて豊かだった遠浅の砂浜の自然は消えてゆきました。私たちの豊かな生活は、海の生態を変化させて、スナメリの減少に繋がっているのかもしれません。
環境を守るために、私たちにできることを考えてみませんか?コチラもよろしければご覧ください。
海でスナメリに出会えたら!
野生のスナメリは生息数も減少している上に、神経質な性格なのでなかなか海で遭遇するのは難しいかもしれませんが、実は水族館で飼育されているスナメリは、人なつっこくて芸達者でもあるんです。
関東以北の太平洋側では、サーファーの目撃情報も少なくありません。
もしかしたら、サーフィン中のあなたに興味を持って、スナメリがそっと近付いてきてくれるかも!?
そんな時は、驚かせずにそっと見守ってあげてくださいね♡