28May
ダイビングライセンスを取る時に1度は習う「ダイビングと飛行機のルール」。
ダイバーなら常識ですが、ダイビングをしない人からしたら全く意味不明ですよね?
と言いながら、ライセンスを持ってる人もなんで飛行機に乗っちゃダメなのか、きちんと説明できますか?
今回はダイビングと飛行機の関係性について徹底解説します。
ダイビングと飛行機の関係とは?
なぜダイビング後の飛行機搭乗がダメなのか、早速説明していきましょう。
1番の理由は「減圧症(または潜水病)」と言われる症状を発症してしまうからです。
ダイビングをしている人は減圧症という言葉も理解していると思いますが、中には初めて聞くという方もいる事でしょう!
減圧症については下記の記事で詳しく解説していますので参考にして下さい。
こちらの記事で減圧症になるメカニズムを説明してあります。
その中で「急浮上」が1番の原因だと言っていますが、これは水中でのお話し。
その急浮上と同じくらい注意が必要なのが「飛行機に乗る事」なのです。
急浮上と飛行機搭乗に共通するキーワードは「急激な気圧変化」です。
この事も詳しく説明していきましょう。
陸上の気圧変化の違い
私たちが普段住んでいる平地には圧力がかかっています。この圧力の事を「大気圧(または気圧)」と呼びます。
地球上の標準気圧(1気圧)は海面付近で1013hPa。これが標高や天気によって多少変化していきます。
詳しい説明は省きますが、一般的には標高が1,000m上がる毎に気圧が0,1気圧ずつ減少します。日本で1番高い富士山の標高は3,776mなので、気圧で表すと約0,62気圧。世界で1番高いエベレストは標高が8,848mなので、約0,3気圧(※)程になります。
※純粋に8,800m=0,88気圧減少と思われますが、実際には高度上昇に対する気圧低下は一定ではありません。標高5,000mを超えたあたりから気圧低下の比率は緩やかになっていくのでこの数値になります。
実際、飛行機に乗る際には高度10,000m付近まで上昇する事もありますが、ほとんどの飛行機内は0,8気圧に調整されています。
しかし、このたった0,2気圧の変化でも体に支障をきたす事があるので、圧力の変化というのはかなり気を付けなければいけない事だというのが分かります。
ちなみに…海中では「水圧」がかかってくるので、水深が1m深くなるだけで0,1気圧上昇します。10m潜れば1気圧上昇して2気圧、20m潜れば2気圧上昇して3気圧となります。
つまり、空気中より水中の方がはるかに気圧変化が大きいと言えます!
これを考えると、水深10mからの急浮上なんてどれだけ恐ろしい事をしてるか・・・。
絶対に急浮上はしないようにしましょう!
ダイビング後に飛行機乗るには
しかし、沖縄や海外でダイビングをしようと思ったら飛行機に乗らない訳にはいきませんよね。では、どうすれば良いのか?
今ではこのようなルールが決められています。
・単一ダイビング(1日に1本だけ)の場合はダイビング後12時間以上空ける
・反復ダイビング(1日に2本以上)の場合はダイビング後18時間以上空ける
・減圧不要限界を超えるダイビングをした場合はダイビング後24時間以上空ける
1つ目と2つ目に関しては文章の通りなのですが、最後の「減圧不要限界を超えるダイビング」というのが聞き慣れない言葉ですよね。
ダイビングの世界には水中に滞在できる時間というのが水深毎に決まっています。
具体的に例を上げると、水深12mなら147分潜っていいよ!とされています。
ところが、これが水深18mになると56分、水深30mにもなると20分しか滞在できません。
つまり、水深の浅い所ほど長く滞在でき、水深が深くなればなるほど滞在時間が短くなるという事です。
しかし、その決められた滞在時間を超えてしまった場合、水深3mで「減圧停止」と呼ばれる行動をとります。
この減圧停止を取る事で、体内に溜まった窒素を排出する効果があるので、安全に浮上できるまで水深3mの所で待機する必要があります。
特に注意が必要なのは飛行機が午前中の場合!もし10:00発の飛行機に乗るとしたら・・・
ダイビングが1本だけなら前日の22:00でいいのでそこまで気にしなくていいですが、2本以上潜るなら前日の16:00までに、もし減圧停止が必要なダイビングをしてしまった場合には前日の10:00まではダイビングを終了しなくてはいけません。
1日3本潜るのを16:00までに・・・と思うと、結構ギリギリかもしれません^^;
体の事を考えたら、飛行機に乗る前日はダイビングを2本にするか、思い切ってダイビングをしない日にする!というのも必要ですね。
余裕のあるスケジュールを組もう!
今回はダイビング後の飛行機搭乗についてご紹介してきました。
飛行機に乗るまでに最低でも12時間、場合によっては24時間以上空けないといけません。
旅行先でたくさんダイビングをしたい気持ちも分かりますが、減圧症になってしまっては元も子もありません。
時間を空ければ空けただけ安全度は高くなるので、あまりギリギリにならないようなスケジュールを組むようにしましょう!